ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

再考、情報モラル教育

最近、高齢者を狙った詐欺事件が多発しています。その多くは、「電話」という相手が見えない情報メディアを巧みに利用したものでした。なぜ、このような事件がいとも簡単に実行できたのでしょう。相手を騙すことのテクニックもさることながら、電話を介して届いた情報を十分に吟味するだけの力が受信者側に不足していたことにも原因があるのかもしれません。もちろん、加害者のモラルが全く欠如していたことは疑う余地がありません。

情報社会の進展とともに、このような「情報」を介した犯罪や事件が増加し、その解決策のひとつとして情報モラル指導への関心が高まってきています。最近では、学校教育に向けた指導のためのマニュアル、Webサイトでの教材の提供や文部科学省をはじめとする各教育委員会が提供する指導のための資料など、教育向けの教材や資料も充実し始めています。また、社会人を対象とした情報モラル講習会なども開かれるようになってきました。

しかし、学校の教員からは、「どのように指導すればよいか分からない」という声が多いのも事実です。充実し始めている教材や資料の多くが情報メディアを中心に扱っていることや、指導する側の教員が情報メディアに対する経験不足のために内容を十分に理解できない場合もあり、自信を持って指導できないということが少なくありません。また、発達段階を配慮して作成されている情報モラルの指導内容ではありますが、小学校の場合、児童側にその内容を理解するための基礎的な力(読んだり、見たり、聞いたりする力)が育っていない場合も少なくありません。そうすると、教員側がその内容に踏み込めないという現状もあるようです。

情報モラル教育は、早急に取り組まなければならない課題ではありますが、もう少し吟味してカリキュラムを組まなければならないと考えています。倫理(考え)を正しく理解し、約束をいつでも正しく実行できる態度がモラルであるとすれば、それを身につけるためには、学校全体でルールを守ることや仲間や先生と注意し合うこと、そして、家庭や社会の中で実行することなどが必要だと考えています。学校教育でどこまで取り扱えばいいのか、今一度考え直すことが必要です。

(2005年10月掲載)

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