ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

情報通信機器に関する情報公開

製品などを生産しているときに発生していた大気汚染物質、石油類を燃料としている車が今も出し続けている微量な窒素酸化物、温暖化の原因である二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス。これらは、それらがもたらすさまざまな害に気付いていても、それ以上の経済効果や利便性が優先され放置されていた期間がありました。

私たちが将来にわたって生活していく上で重大な過失であることが見直され、やがてさまざまな対応策が練られるようになってきました。地球温暖化を防止するための京都議定書では、「先進国の温室効果ガスの排出削減について法的拘束力である数値目標を定め、各国が国情に応じて政策・対策を実施すること」などを求めています。ひとつの国の問題ではなく、世界中で温暖化の根源を断つことや減少させるように定めています。

これまでの公害の多くは、私たちの体に影響が現れることや、可視的な環境の変化がいくつかあり、気付くことも早く世界中の協力も可能だったのかもしれません。もし、環境にもたらすさまざまな影響に気付いた段階で各国が対策を始めていたら被害者の数や失った環境はもっと少なかったかもしれません。

さて、「情報」についてはどうでしょう。最近のコマーシャルは、携帯電話で動画を交換する楽しそうな内容や、大量の情報を交換できる機能などを前面に出したプラス面だけを強調したものが流れています。

しかし、これらの新製品が世の中に流通した段階で、どのような負の活動や現象が出てくるかはその製品を開発・販売している企業側で研究され、予測がついているはずです。しかし、その製品がもたらす利便性や、新しい機能や通信速度の高速化を求める消費者のニーズに合わせた新製品を出すことに傾注しすぎるあまり、負の影響についての対策は後回しになっている可能性を否定できません。

先の公害が、劇的な産業拡大時や経済成長時に発生しているように、情報量が劇的に増大しているここ数年の間に、同じような現象がすでに発生している可能性があります。その現象について、製品を開発販売している企業側に責任がないと高をくくっていられるのは、そう長くはないと考えています。現時点での利用者は、情報機器に対して、その利便性に酔いしれていますが、やがてそれらが自分自身の生活にもたらしたさまざまな負の影響について気付くときがやってくるでしょう。

そうした場合、そのことに気付いて製品を出し続けていた企業側の責任が問われることは、間違いありません。現時点で「気付いている」「研究で明らかになっている」ことについて、もっと積極的に公開し、社会に与える影響や、利用者自身が被る可能性についてアナウンスしながら情報機器を普及させることが必要ではないでしょうか。情報通信機器に関する「情報」面に特化した「PL法」的なものが出てきても良い時期かもしれません。

(2005年4月掲載)

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