ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

子どもに必要な情報活用能力

情報教育のねらいの一つに、「情報活用の実践力」を身につけるという項目があることは、これまでにも紹介してきました。これは、その人自身が抱えている課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを前提に して、その活動の中で必要になってくる情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などをふまえて発信・伝達できる能力を身につけることです。

また、そういう力を発揮する場合に、自分が創り出した情報に対して責任を持つこと、すなわち正しい情報を創造し相手に与える影響などを考えながら発信することなども実践力に含まれています。

それでは、子どもにとって必要とされる情報活用能力は、何でしょう。

実践力の前提となる能力と考えると、課題や問題解決の中で活かされる能力と考えることもできます。すなわち、問題を解決する活動の中で、情報を集め、新しい情報を創り出し、発信・伝達するということを経験しながら少しずつ高めていくような能力だと言えます。そして、さまざまな情報メディアの中から相手の状況などを踏まえて、適切なものを選択し活用できるように高めていくことも必要です。

具体的には、生活の中であふれる情報の中から、自分の問題解決に必要な情報を選択して活用するような場面が考えられます。そのためには、いろいろなメディアに触れ、慣れ親しんでおくことが必要です。

しかし、いろいろなメディアを利用して、実際の情報を得る場合や、自分の考えをメディアを利用して他者に伝える場合などに、本当に必要となってくるもっと基本的な力があります。そう、「読む」「聞く」「見る」「書く」「話す」などの力です。私たち大人は、これまでの教育でこれらの力を十分に身につけてきました。そして、その基礎的な力を利用してメディアに接しています(数回前にも説明しました)。ですから、必要な情報を適切に入手することや、自分の思いや考えを相手に伝えることができるのです。

ところが、これらの力が不十分な子どもたちにメディアを与えると、情報収集や表現等をメディアに頼ってしまうかもしれません。あまりにも急いでメディアに接する機会を増やすと、子どもたちがメディアに依存する可能性が考えられます。

このようなことに留意しながら、いきなりコンピュータなどのメディアを利用するというのではなく、現存するさまざまな情報手段に接して体験する中で、「読む」「聞く」「見る」「書く」「話す」などの力について も、確実に身につけさせることが必要です。子ども自身の聴覚や視覚を働かせ、声を出し、手を動かし、頭で考えて情報を処理する訓練が必要です。

確かに、新しい情報機器に慣れ親しみ、十分な活用能力を身につけることは、これからの情報社会で生活し活躍するためには必要な能力です。しかし、それらを支える基礎的な力を平行して身につけることも忘れないよ うにしなければならないと考えます。メディアの操作がうまくなるだけでなく、生活や仕事の中で活用できるようになることが大切です。

次回は、情報やメディアを活用するための力をつけるには、どのような学習が必要になってくるのかということについて考えます。

(2004年9月掲載)

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