ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

メディアと生活指導

子どもたちが生活している情報社会は、毎日新しい技術が開発され、それが短期間で生活に浸透しています。カセットテープレコーダーなら使えるけれど、MDはちょっと使えない。ましてやMP3録音となると何のこ とやら・・・・。音楽を楽しんでいる人たちにとって、ネットから音楽をダウンロードして対価を支払いメモリータイプのメディアに録音して聞くというのは常識になっているのです。

このような新しいメディアは、ターゲットである若い世代の人たちが先取りして生活の中に取り込んでいます。そこには、もちろん子どもたちを含んでいます。

このような新しい技術を利用したものの多くは、コミュニケーションの道具です。携帯電話をはじめとして、携帯ゲーム機もネットに接続してコミュニケーション型のゲームを構想し始めています。また、近い将来には IP技術を利用したIP携帯電話も登場する気配です。

そうなってくると安価で高品質かつ高機能のコミュニケーションツールが今後も普及し、子どもたちがそういう道具を使いこなすことは明らかです。そうなると、大人が知らないようなツールを使い始めるという現象も当然発生します。

これまでの生活指導は、目の前で進んでいる子どもたちの活動を見ながら教員が経験してきたことをある程度前提にして、対応してきました。子ども同士のコミュニケーションも「会話」や「けんか」などであり、目に 見える現象が多く、他の子どもからもそれらの情報が先生に入り、的確に対応することができました。

しかし、教員の目の届かないところで起きている子どもたちの活動に対する指導は、これまでも難しいことがありました。ましてや、新しい情報メディアを利用して、子ども同士だけの世界でコミュニケーションをしている場合には、その内容に対応することは不可能に近いかもしれません。

これから登場する新しいメディアを活用して起こりうるさまざまな問題を予測し、生活指導などの対応策を検討しなければならない時期に来ています。そのためには、教員も子どもたちが接しているさまざまなメディア に自ら主体的に接し、そのメディアが持っている特徴や問題点を十分に把握する努力をする必要があります。

「新しい機械は苦手だから」と言って逃げていると、いろいろなトラブルに対応できないことは明らかです。それは、すでに一般的に使われている「電子メール」や「電子掲示板」「チャット」などについても同じことです。これらのコミュニケーションツールが、一部の子どもたちの間に浸透し、実際に活用されている事実を知り、それに対する学校での事前の指導がもはや欠かせない時期にきていることを、教育に携わる私たちは認識する必要があります。

ネットワークセキュリティや、個人情報の保護などは、事前に十分な対策を施すことによって、事故が起きてからかかる処理対応の費用を軽減するということにつなげています。学校においても、事前の生活指導やモラ ル指導を行うことで、さまざまな事故や事件を未然に防ぐことになるという認識を高める必要があります。

そして、自信を持って生活指導をするためには、教員自身が情報社会に対応した能力を身につけることから始めなければなりません。

大人が創り出した情報社会に子どもたちを放りだしておきながら、そこで生きるために必要な能力や技術を教えない、または伝授していないという現状があります。そこには、教える内容や伝授するための能力を大人自 身が身につけていないという事実もあります。社会の変化を少しでも先取りし、それに対応した生活指導の在り方を学校がもっと積極的に取り組んでいきたいものです。

(2004年7月掲載)

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