ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

子どものための情報教育

(1)情報社会を先ゆく子ども

情報社会に取り残されている先生と、情報社会の最先端を行く子どもたちが学ぶ学校、そういう構図についてこれまで「子どもと携帯電話」や「先生のための情報教育」の中で少し触れてきました。いくつかの学校や教育機関で先生方と接する機会が多く、そういう場で話を聞いていると、この構図に気づきながら悩まれている先生方が多いことが分かります。

特に、最近のメディアの多くはデジタル化という技術が中心であり、アナログ世代の大人たちにとってはMDやDVDといった媒体だけでなく、カタカナが多い操作用語に戸惑いを感じるという声を聞きます。

しかし、その一方で子どもたちは、違和感なく情報社会の新しい(子どもたちにとっては当然の)文化を取り入れています。

これまでにも話してきたように、今の社会文化の中で生活している子どもたちと、これまでの社会から抜け出せない大人との間のさまざまな情報化のギャップは、大人が乗り越えるか近づく努力をすることが得策かもしれません。

問題は、教える側より場慣れしている、文化的に先行している子どもたちにどのようにして、「情報教育」を指導するかです。さらに、その内容はどうあるべきかと言うことです。

これまでのコラムでは、先生が情報教育の3つのねらいになっている「情報活用の実践力」や「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」などを身につけることが先決だと書きましたが、何となくですが事態はそれでは追いつかない状況になっている感じがします。

10年ほど前なら、それで済んでいたかもしれませんが、最近の情報伝達装置としてのメディア発展のスピードは著しく、印刷文化から電話や電信の伝達文化に変遷した数百年をかけた文化スピードを、遙かに上回るスピードを感じます。例えば、電話が1対1のコミュニケーションのためのメディアから抜け出すのに約100年かかっていたのが、この数十年の間に、声から文字、画像、動画、マルチメディア、1対多のコミュニケーションの実現、ネットワーク活用等へと劇的に変化する様を見ても明らかです。

子どもたちは、そういうことは意識せずに自然に使いこなしています。もちろん、大人の中にもうまく順応できている人もいますが、そう多くはありません(私の周りはそう多くはありません)。

このような現状の中で、私たち教える側は、子どものための情報教育をどのようにとらえて指導していけば良いのでしょうか。このあと、子どもを取り巻く情報環境や子どもに必要な基礎的な情報活用能力、そこで必ず必要な「読む・聞く・書く・話す力」、そして情報モラルの育成などの内容と子どもへの指導方法などについて考えていきたいと思います。

(2004年5月掲載)

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