ICT活用教育のヒント

校内ネットワークのモデルを考える 安達一寿

学校としての方向性を明確に

前回の記事に関して、読者の方より感想を頂きました。ちょっと「モデルを考える」テーマから外れますが、現状の問題をあらわにするために、取り上げてみたいと思います。

教員の状況はこれでいいの?

前回の記事で、「パソコンを操作できる教員は93.0%、授業ができる教員は全体の60.3%」とのデータを紹介しました。これに関して、「なぜ進まないのか?そして現状を打破するには、どうすればよいのか?例えば、教員研修は、どう改善すべきか?」といったご質問がありました。

この数字で判断すれば、すべての子ども達にITを活用した授業を行う教員側の準備はまだまだ整っていないと考えるしかありません。この度の学校の情報化推進の大きな目的の1つは、児童生徒の学習のためのインフラを整えて、「わかる授業」を促進することが期待されています。その意味では、研修の内容も単にコンピュータやネットワークの使い方ということではなく、「わかる授業」のためにはITをどう活用したらよいか、同時に未来を生きる子ども達にどのような力を身につけさせるか、といった視点を取り入れるべきと考えています。

特に校内研修では、学校教育の体系の再構築という視点も含めながら、学校としての方向性を全教員で研究する体制づくりが重要だろうと考えます。情報化に対するビジョンがない学校にコンピュータやネットワークを導入しても、結局使われなくなることは目に見えているからです。管理職や研究推進に関わる教員の役割は、ますます大きくなります。

また、教育の情報化に関わる人は学校の教員だけではありません。教育委員会・センター、教育ソフトウェア開発会社、そして教育の情報化の研究者、これらの人たちが連携・協力できる機会を持つことも必要だと考えています。

コンピュータの状況はどうなのか

「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は、8.8人/台で、目標とされる 5.4人とはまだ開きがある」のが現状ですが、それに関して、「地方交付税措置がされているのにも関わらず、なぜ進まないのか学校で要望していないのか?教育委員会はどう考えているのか?現状を打破するには、どうすればよいのか?」とのご質問がありました。確かに、地方交付税として教育の情報化に関わる予算措置は行われています。

しかし、教育の情報化の必要性が地方自治体に十分周知、理解されていないこと、また地方交付税の性格上、その使い方は各自治体に任されているため、必ずしもITに使われていないことが指摘されていることも事実です。コンピュータを導入・更新する際には教育委員会や財政当局の理解が不可欠です。

また、現場の先生方の必要性や熱意を訴えることも必要でしょう。問題は、そうした熱意が相手をきちんと説得・納得できるものになっているかです。

その意味では、日常の学校からの情報提供や、他地域との比較ができるデータ、必要性や切実感を訴える情報、そのお金を使った場合の対費用効果、学力向上に対する具体的な計画など、現場として準備する必要があるかもしれません。当然のことながら、コンピュータは入ったけれども使っていません、という状況では予算はなくなるでしょう。

逆に言えば、きちんと理解が得られるのならば、環境をよくするチャンスはより広がることにもなります。その意味でも、学校としての方向性を明確に具体的に策定しておくことは重要です。

(2005年2月掲載)

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