ICT活用教育のヒント

学校の情報化を進める 安達一寿

児童生徒・学生に対する活用方法

学校の情報化を進めることによるメリットはいろいろありますが、単に情報を管理するだけではなく、そこに整理された情報が有効に発信され、利用されることが必要です。以前、お話ししたように、学校の業務には一定の流れがあります。蓄積・共有された情報をどのような場面で活用できるかが、情報化によるメリットを考える上では重要ですが、今回は、児童生徒・学生に対する活用方法を考えてみましょう。

児童生徒一人ひとりの情報を活用するには

最近の学校での情報システムとして開発が進んでいるのが、学習者への支援システムです。特に大学などでは導入に積極的な事例もあります。基本的な考え方としては、教育の質が問われる時代になり、より学習者への面倒見の良さを実現可能とするために、学習者に関わる情報を効率的に管理すると共に、それらの情報を学習者・教員・職員間で共有し、学習者への支援・指導の基礎資料とすることがあります。また、場合によっては保護者への情報提供にも利用する場合もあります。

こうした教育用情報システムは、学校の種別・規模に応じたものが開発されるようになってきましたが、校務の効率化を図るのはもちろん、そこから一歩進んで学習者への情報支援を考えることがこれからの時代には必要です。

そうした試みとして、学習者個々人のカルテという考え方を導入し、情報の有効利用をしている例もあります。これは、一人ひとりの学習者に対して、テストなどの成績や結果、面談などでの所見、検定試験などの結果、体育や保健などのデータ、アドバイスなどの情報を蓄積・集約し、わかりやすい形で参照できるようにしたものです。

これまでも、こうした情報は何らかの形で活用されているとは思いますが、情報システムを用いることで、より効率よく運用することができる事例です。また、単に情報を提供するといった一方通行の流れから、学習者や保護者との双方向ツールとして、機能させる可能性も広がります。

実現方法はいろいろある

こうした学習者のカルテを情報システムを用いて構築することは、一人ひとりの学習者に対して、より丁寧な指導を行う上で、今後重要性を増すものと考えます。やっていることやりたいことは、これまでの学校の事務処理でもあったわけですが、電子化することにポイントがあります。

実現にはいくつかの方法が考えられますが、こうした機能を持ち合わせた教育情報管理システムを用いたり、場合によっては集約したいデータをデータベースソフトなどを用いて関連づけることにより、比較的簡単に構築することもできます。

構築する場合は、学習者のさまざまなデータの入力形式と実際のカルテの出力形式(何通りか考えられます)を検討した上で、処理の方法を決めるとよいでしょう。

例えば、成績を中心にカルテを考えるのであれば、教科や時系列での成績の状況などが分かることが必要になります。また、所見などの場合は、自由記述欄などの設定と共に、チェックリストなどもあると、よりわかりやすいデータになると思います。

情報の取り扱いには注意を

ここで扱うカルテの情報は、いうまでもなく個人に関わる情報になります。ですから、その取り扱いには十分な注意を払わなくてはいけません。電子化されている部分の管理やセキュリティの確保も当然ですが、印刷した物を放置したり、そのまま捨ててしまうようなことにも慎重な対応が求められます。情報を扱う基本的な態度とそれに伴う実践が要求されます。

(2004年10月掲載)

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