ICT活用教育のヒント

学校の情報化を進める 安達一寿

情報の流れや所在から見た学校情報化推進

これまでの連載では、学校に配置されるコンピュータやネットワーク形態から見た特徴を整理してきました。

今回からは、学校での情報の流れや所在から見た、学校情報化推進への事項を整理したいと思います。

学校での仕事

学校は、単に授業を行うだけでなく、それ以外にも多数の仕事が存在します。それらの仕事をこなすために、役割として大きく分けると教員職と事務職が存在しています。また、保護者の組織としてPTAもあります。

教員職の仕事は、授業などでの教科指導、特別活動の指導、担任業務、進路指導、校務分掌業務、募集・広報業務などがあります。事務職の仕事は、学校における庶務、会計業務、施設管理などがあります。

学校の情報化は、将来的にはこれらすべての仕事に渡ってデザインされないといけません。そのためには、学校での仕事と、そこでのデータや情報の流れ、取り扱いの仕方などを整理し、それに適合した学校情報管理用の情報システムの構築が必要になります。情報化推進は、企業などではトップダウン的に行われることが多いです。それは、情報システムの導入により、これまでの仕事のやり方を変えていかないと、うまくいかないことが分かっているからです。

ただし、多くの学校はこれまでの仕事の中で、可能な範囲でコンピュータやネットワークを利用した情報化を進めているのが現状だと思います。トップダウン的なやり方自体が、学校に適さないことも原因かもしれません。

では、その可能な範囲、可能なことの中で、どこから進めていくか、考えてみたいと思います。

皆に共通するデータ・情報は何か

学校の情報化を進める上で、情報の共有をどう行うかは大きなポイントになります。学校としてのポリシーを策定し、情報化に関わる人すべての理解を得ることが重要です。

一般的な情報システムの構築では、そのシステムで何をしたいのか(要求仕様)と、そのために必要とされるデータは何か、どのような形式でデータ化が行われているかを調査します。また、最終的に利用する形式(印刷物、Web化など)を決めていきます。その上で、データ同士の関連や共通して利用できる機能などを整理し、情報システム全体のデザインを行います。学校の場合も、このプロセスに従うことが良いのですが、皆がその恩恵を享受できる機能を優先させることもあり得ると思います。

名簿から始める情報共有

学校で扱う情報の中で、どの仕事にも共通するものの1つとして、名簿があります。名簿データを中心に、情報の共有を進めることは、実情にあった方法の1つだろうと思われます。

名簿の使われ方は、仕事の内容によってさまざまです。出席簿、成績表や生活指導に関わる情報、保健関係など、その目的に併せて学校には多くの名簿が存在すると思います。その名簿を一元管理し、お互いが便利になる形での情報共有を考えます。そのためには、以下の2点をまず見直してみます。

名簿の物理的な形式

コンピュータのデータとして名簿を作成している場合でも、その形式がワープロソフト、表計算ソフト、データベースソフトなど、各部署ごとにバラバラだと共有化が進みません。どこでも共通して利用できる形式にすることが必要です。一般の学校規模であれば、表計算ソフトで十分な処理は可能ですが、データの規模によっては、データベースを導入した方が、効率が良くなる場合もあります。

名簿の論理的な形式

名簿の中の情報として、氏名が含まれるのはもちろんですが、利用目的に応じてさまざまな項目を付加しながら使うことになります。皆がまちまちに項目を付加すると、使いづらい名簿になってしまいます。この名簿の形式を整えることを、フォーマットを揃えるといいます。必要な項目を洗い出し、共通利用できることを考えましょう。ただ、このやり方とは逆に、すでにあるさまざまな名簿を氏名や学籍番号を手がかりに、関連付けて管理する方法もコンピュータでは可能です。学校の情報化や情報の共有化の進み具合に応じて、判断できると思います。

(2004年7月掲載)

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