授業でのICT活用

 京都市立藤城小学校は、「情報活用能力を基にした“生きる力”の育成~ことばの力を育て、豊かに伝え合い、主体的に学ぶ子をめざして~」をテーマに情報教育の研究を8年間積み重ねておられます。
 また、「地域に根ざす学校づくり」を基本構想にかかげ、保護者、地域の人々とともに高度情報通信ネットワーク社会に対応した「新しい学校づくり」をめざし取り組んでこられました。同校の大畑眞知子校長にその取組についてお話を伺いました。

学校訪問 京都市立藤城小学校

次世代に生きる情報活用能力の育成

本校では、平成15年度に各教室ならびに職員室にコンピュータが導入され、校内ネットワークが施設されました。

ICTの活用は、楽しくわかる授業や、子どもたちの主体的な学習の支援につながり、本校の学習環境を大きく変えました。

こうした教育環境の大きな変化の中で、「子どもを変え、授業を変え、学校を変える」を合言葉に「情報活用能力を基にした生きる力の育成をテーマとした研究に取り組んできました。

さまざまな課題が山積する次世代を生きる子ども達には、自ら課題を持ち、解決していく力が求められます。そのために必要な基礎的な学力、情報活用の実践力、コミュニケーション力などの力を子ども達につけていくために実践研究に取り組みました。

また、子ども達にそうした力をつけるために、ICTの有効活用など指導法の工夫、授業の改善を積極的にすすめました。さらに、学校運営協議会を軸とした地域連携のもと、開かれた学校づくりを目指しました。

ICTを普段使いで

京都市立藤城小学校子どもの姿を変えるためには、教員自身に授業を変える工夫が必要です。本校では、「楽しくわかる授業の実現」をめざし、積極的にICTを活用した授業実践に取り組み、全ての教員がICTを活用して授業を行っています。

毎年の人事異動でICT活用が不得手な教員も異動してきますが、ICT活用が日常のものとなっている本校で、赴任して一年を終えるころには、抵抗もなくなり、ずいぶん馴染んでくるようです。

子ども達の目の輝きが教員のモチベーションに

子どもの反応が、先生方がICT活用に取り組む一番の動機になると思っています。教材の拡大提示はICT活用の基本です。教材提示装置を使って子どものノートや絵を映し出すこともよくあります。視覚化することで子ども達の理解が深まり、みんなで情報を共有することで交流もすすみます。「わかった」「自分の考えが発表できた」という子ども達の目の輝きが、担任の先生のモチベーションになる。それが、「また使ってみよう」という大きな動機になっています。

教員のICT活用の秘訣

ICT活用交流の場

本校にはICT活用をすすめるいくつかの仕掛けがあります。

そのひとつが校内研修会での学年交流です。校内研究授業際には、事後研修と共に、研究の柱に沿ったテーマを決め、学年の取組報告会を行っています。テーマは、「総合的な学習の年間計画」「コミュニケーション力の育成」などさまざまですが、そのひとつに「ICT活用」もあります。各学年がどのようにICTを活用しているかを交流することで、「こんな使い方があるのか」と再認識することもあります。報告は、プレゼンテーションソフトでまとめ、拡大提示しながら行っており、教員のプレゼンテーションスキルの向上にもつながっています。

ふたつめは、ICT研修会です。年度初めには、本校にあるICT機器を使って操作研修を行います。どんな機器があり、どのような使い方をするのかを確認、交流しあいます。また、年間のいろいろな研修会の際に、新しい機器やソフトウェアなどを紹介するワンポイント研修なども随時行っています。

こうした仕掛けのほかに、「ここどうするの」と気軽に相談できる職員室の雰囲気が教員のICT活用の基礎を支えているのではないでしょうか。

毎朝の「校長先生のメッセージ」と学校ホームページの毎日更新

毎朝発信される校長先生のメッセージ前校長から引き継ぎ、毎日続けているのが「校長先生のメッセージ」です。具体的には全校の子ども達の活動の紹介や「相手に伝わるあいさつをしましょう」といった生活指導の内容、地域の方が本校のためにさまざまに協力いただいている姿などを、私が写真と文章でまとめ、毎朝校内ネットワーク上で公開しているものです。それを、各教室でコンピュータと接続した大型テレビで朝の会で読むことが恒例になっています。

そして、私からのメッセージは、情報を伝えるだけでなく、全学級で毎朝必ずコンピュータが起動されるきっかけになっています。朝の会以降、常にコンピュータが利用できる状態になり、教材などを拡大提示したい時に、スムーズに行えるようになっています。

もうひとつ毎日続けているのが、学校ホームページの更新です。「校長先生のメッセージ」同様、子ども達の活動や教育活動の様子、地域とのふれあいなど、学校のある日は1日も欠かさず発信しています。私も1日2~3回の更新を心がけていますが、本校の教員は全員がいつもカメラを携帯し、活動の様子を記事にして作成できるようにしています。

私自身、赴任当初はそれほどICTに詳しくありませんでした。子ども達や地域・家庭への発信を毎日繰り返すことで、スキルが向上し、短時間で作れるようになりました。ICT活用を進めるためには「慣れること」や「使わざるを得ない状況にすること」が一番大事であると感じています。

学校・保護者・地域が連携藤城小学校運営協議会

本校では、文部科学省と京都市教育委員会の「コミュニティ・スクール推進事業」の研究指定を受けて、平成17年度に藤城小学校運営協議会【やまざくらNET21】を設立しました。本協議会は、「ふれあい活動部会」「安全環境部会」「環境整備部会」「教育情報化部会」の4つの部会があります。

例えば、「ふれあい活動部会」では、前年度中に、地域の各種団体からの聞き取りをもとに地域におけるふれあい活動の年間計画を立てます。それが運営協議会で承認され、1年間の活動が非常にスムーズに運営されます。子ども達の授業におけるふれあい活動もあり、単なるイベントではなく、授業のねらいをもった活動として計画されています。

地域からの発信 ~藤城やまざくら通信~

学校運営協議会を持つ学校は多数ありますが、「教育情報化部会」は本校独自の部会です。この部会は、本校の研究実践にとってなくてはならない部会です。ゲストティーチャーや学習ボランティアなど、豊富な地域人材を教育活動に活かすためのコーディネートをこの部会が行っています。先日も4年生の総合的な学習で地域調査に出かける際に、支援をお願いしたところ、20名以上のボランティアを集めてくださいました。

子ども達は低学年の頃からさまざまな人々と交流し、コミュニケーションの幅を拡げることができ、地域は情報収集や発信の場、大切な学習の場となっています。

また、「教育情報化部会」では、月刊広報誌「藤城やまざくら通信」の発行も行っています。広報誌は、子ども、大人の世代を超えた「ふれあい」のために、地域に根ざした幅広い情報の収集と発信を目的として、地域の活動や学校の活動の様子を載せています。校区の全ての世帯に配布しており、今年7月現在110号を迎えました。さらに今年度は、【やまざくらNET21】のホームページやブログも充実し、情報で地域をつないでいます。

情報教育と地域ぐるみの取組が評価され、ふたつの賞を受賞

京都市立藤城小学校Webサイト本校は昨年度、2つの大きな賞を受賞しました。8年間の情報教育の取組に対する「時事通信社教育奨励賞・特別賞」と地域のみまもり活動に対する「文部科学大臣表彰:学校安全ボランティア活動奨励賞」です。地域や保護者の皆さん、ご指導いただいている大学の先生方、関係諸機関、企業やボランティアの皆さんの支援を得ながら、子ども達とともに取り組んできた成果であると感じています。

今の教育課題は、学校だけの力では解決できないことが数多くあります。子ども達に「生きる力」を培い、心もからだも健やかに成長できるよう、たくさんの方々のご協力を得ながら、共に歩んでいきたいと思います。

(2011年9月掲載)