学習指導要領/教育の情報化

学習指導要領の改訂を教室の中まで届けよう玉置崇(愛知県小牧市立小牧中学校 校長)

教科書をICT活用の視点でチェック

中学校ではこの4月からいよいよ新学習指導要領が本格実施となった。教育行政から、5年ぶりの学校勤務となり、新学習指導要領を周知徹底する立場であったこともあって、赴任直後は、教育課程の対応等が気になって仕方がなかった。自身で確認作業をする中で、当然のことではあるが、完全実施への対応がきちんとされていることがわかり、一安心しているところだ。

ところで学習指導要領改訂のたびに言われることに、教室の中まで改訂が届いていないということがある。校長として、これまでと同じ轍を踏まないように心しているところだ。例えばICT活用だ。技術・家庭で「情報」が必修となったことで、ICT活用は我が授業では必要ないと思っている教員がいるかもしれない。ICT活用の基本スキルは小学校ですべて終え、中学校ではそのスキルを各教科で大いに発揮させることになっていることすら知らないかもしれない。まずはこのことを校内研修会の折などにしっかりと伝えたいと思っている。

学習指導要領・国語では「新聞やインターネット、学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること」(第2学年)という記述がある。社会では「資料の収集、処理や発表などに当たっては、コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用し、指導に生かすことで(略)」(指導計画と内容の取扱い)、美術では「美術の表現の可能性を広げるために、写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活用を図るようにする」(指導計画と内容の取扱い)などの記述がある。気づいていない教員も多い。ICT活用を意識して、学習指導要領を再読するよう指示することも必要だと考えている。

当然、教科書にはこれらの記述が反映され、ICT活用を促す内容が示されているはずだ。授業を変える大きな要素の一つに教科書がある。「教科書ではどの内容・場面でICT活用を奨励しているかを早めにチェックしてほしい」と伝え、機会を見て教科書の該当箇所を確認する声かけをする心積もりをしている。

情報モラル指導については、技術・家庭科に任せきりにせず、学校全体で計画を立て、学級担任を中心にだれもが指導できるようにしておきたい。ネットトラブルは、中学生を持つ保護者が一番関心を寄せ、心配をする事柄である。外部から専門家を招いて、教職員と保護者が共に学ぶことも意義あることだと考え、計画を練っているところだ。

(2012年6月掲載)