ICT活用教育のヒント

教科指導におけるデジタル教材活用のポイント

教育のICT活用場面の多くは「教材の提示」

平成21年度の補正予算「学校ICT環境整備事業」によって、デジタルテレビや教育用、校務用コンピュータ、校内ネットワークなどのICT環境の整備が進みました。地域によって差はありますが、これまで遅れが指摘されていた、教科指導におけるICT活用のための普通教室の環境整備が一気に進んだといえます。

新しい学習指導要領では、教科指導における教員のICT活用を求めています。教育の情報化に関する手引では、「教員が授業のねらいを示したり,学習課題への興味関心を高めたり,学習内容をわかりやすく説明したりするために,教員による指導方法の一つとしてICTを活用することである」と記されています。

では、教員のICT活用とは何なのでしょうか。 手引きでは、授業での具体的なICT活用として映像や音声といったデジタル教材の提示場面が多く紹介されています。

授業力を改めて見つめ直そう

普通教室のICT機器の整備が進み、以前と比べコンピュータや実物投影機等の映像をプロジェクタや大型ディスプレイ等で簡単に提示できるようになってきています。

しかし、大きく提示するだけで、学力が向上すると単純に考えることはできません。例えば、子どもの興味関心を高めるためには、指導のねらいや子どもの実態に応じた教材を教員が十分吟味し、選ぶことが重要です。また、教員が教材をタイミングよく拡大提示したり、提示した映像や画像などを指し示しながら発問、指示や説明をしたりすることで、ICT活用による効果が期待できます。ICT機器の使い方ではなく授業面でのスキルを改めて見つめ直すことが必要でしょう。

自作教材の有効活用を

多くの学校では、プリント、ワークシートなど教員の自作のデジタル教材を、大きく提示して授業が行われています。市販のデジタル教材を整備されている学校も増えていますが、まだ十分に浸透していないのが実情です。

教材は、フォルダに整理して保管し、ネットワークを介すことで、教員間で簡単に共有できます。また、過去に利用した自作の教材は、少し変更するだけで、他の教科や次年度に再利用できるメリットがあります。

単元ごとの教材整理が理想

「教材の共有」を、より円滑に行うためには、教員が「教材を使いたい」と思ったときに、すぐに教材を探して使える仕組みが必要です。

今、多くの学校では、サーバ上に各「学年」のフォルダがあり、そのフォルダ中に各「教科」のフォルダが作られ、教材が整理されているのではないでしょうか。しかし、教員は「この単元のこの場面で使いたい」と具体的なイメージを持ってから教材を探します。教材は、単元ごとに整理されていることが理想です。

共有した教材を自分なりに変更する

教員には各々に授業のスタイルがあります。たとえ、教材が共有されても、他の教員が作成した教材をそのまま自分の授業に当てはめることはできません。したがって、共有された教材は、一部、自分なりに変更できることが必要です。自作の教材ならば、多くの市販の教材と異なり、教員が簡単に変更を加えて利用できます。

また、共有される教材は、玉石混合になっています。それらの中で、より多くの教員に利用される教材が優れた教材だといえます。利用頻度が高い教材がわかるような仕組みがあると良いでしょう。

教材の共有から学校全体の授業力向上へ

これまで、教員が作成していた優れた教材は、「教員個人の財産」でした。例えば、若手教員が先輩教員の教材を「使いたい」「参考にしたい」と思っても「コピーさせてください」とお願いしなければならなくて、ハードルが高い状態でした。

しかし、教材がネットワークで共有化されることで、誰でも教材を閲覧し、利用できます。必要があれば、それらを自身の学級の実態に合わせて変更し、再利用できます。これまで、教員個人のものだった「教科指導のノウハウ」が共有され、「学校の財産」となります。教材を共有することは、やがて学校全体の授業力向上に繋がると考えます。

新しいコミュニケーションが生まれる

教材が単元ごとに整理され、検索すれば、必ず何か使える教材が保存されている。そのような、「教材のライブラリ」を学校で共有できれば、教員にとってこれほど心強いものはないでしょう。

まずは、これまで先生方が授業で利用した教材を整理して保存し、共有することから始めてみてはいかがでしょうか。

職員室で「○○先生のワークシートはどうかな?」「先生のプリントは工夫されていますね」といった話題が挙がり、教員間で新しいコミュニケーションが生まれることを期待しています。

(2010年6月掲載)

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