ICT活用教育のヒント

知っておきたい!無線LANの基礎知識

太田博章氏タブレット端末を活用する上で重要なインフラとなる無線LAN環境。しかし、無線LANの運用・管理の難しさや、接続が途切れたり、通信が遅くなるというトラブルが発生してしまうと対応に多くの時間が割かれ、授業時間が確保できなくなる問題も指摘されています。こうした課題に対応するため、整備にあたって注意すべき点は何か。NTT東日本が提供するサポート付き簡単Wi-Fiサービス「ギガらくWi-Fi」のWi-Fiサポートセンター運営を担当する太田 博章 氏にお話を伺いました。(2015年10月取材)

※Wi-Fiとは無線LANの別名です。

学校の無線LAN環境整備の現状

現在の普通教室への無線LAN環境整備の状況を教えてください。

【図1】普通教室における無線LAN整備率文部科学省の「第2期教育振興基本計画」では、21世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境の整備を図るため、「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数3.6人」など、平成29年度までの目標となる水準を示しており、その中で「超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率100%」を掲げています。同省が本年9月に発表した「平成26年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】」によると、普通教室の校内LAN整備率は86.4%で、そのうち無線LANでの整備は27.2%(普通教室全体に対する無線LAN整備率は23.5%)【図1】となっています。平成29年度に向けて、今まさに無線LAN環境の整備を計画されていたり、検討を始められたという自治体様が多いのではないでしょうか。

しかし、学校現場における無線LANによる校内ネットワークの構築については、さまざまなトラブルの事例も報告されており、タブレット端末を使った授業運営に不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。無線LANのトラブルの要因として「コンシューマ向けの無線LAN機器が導入されている」「無線LAN導入に関する資料(設計資料など)がないため、トラブル解決に時間を要する」といった例が挙げられているように(一般社団法人日本教育情報化振興会「学校の無線LAN導入・運用の手引きVer.1.00」より)、無線LAN環境の整備にあたっては事前に十分な検討を行って、実際の運用を見据えた整備を進めることが重要だと思います。

無線LANの検討は運用後のサポートを意識

無線LANを整備する際に検討すべき点は何ですか?

快適にタブレット端末を活用した授業を行うためには、「機能面」「構成面」「サポート面」の3方向からの検討が必要です。

「機能面」の検討とは、学校現場における使用に耐えうる機能を持つ機器であるかどうかの検討です。学校現場においては、動画やファイルの一斉ダウンロードなど、アクセスポイント装置に負荷がかかる使用が多いため、大容量の通信にも耐えうる仕様であるかどうかの確認が必要不可欠です。

「構成面」の検討とは、アクセスポイント装置の機能を十分に生かすことができる設計をすることです。校舎の形状や同時にアクセスポイント装置に接続する端末の台数などをもとに、必要なアクセス回線の本数やアクセスポイント装置の台数・設置場所を検討する必要があります。

「サポート面」の検討とは、初期設定や設定変更、万一のトラブル発生の際に先生方が問い合わせることのできる窓口をどのような形で準備するかの検討です。

この3つのうち、「サポート面」の検討はどうしても後回しになりがちですが、もっとも重要な点と言っても過言ではありません。教育委員会や一部の学校にはICTに詳しい方がいらっしゃる場合でも、管内の学校のすべてに無線LANのトラブルに対処できる先生がいらっしゃるとは限りません。しかし、実際にその環境を使うのは学校にいらっしゃる先生方です。無線LAN環境に不調やトラブルが発生した場合には、先生方が対処しなければならない状況が多いことを、整備を計画される段階から考慮していただければと思います。

しっかり設計して整備しても、トラブルは起こるものですか?

総務省の「フューチャースクール推進事業」の報告書の一つ「学校現場におけるICT環境の構築、運用、利活用に関する調査研究報告書」では、「特定の教室で無線LANが接続できなくなったり、接続しにくくなったりするという事象」の原因を分析したところ、「隣り合う教室での電波干渉の発生」のほか、「学校内だけでなく、学校外の環境変化によることも考えられる」と報告されています。

コンピュータ教室などを有線LANでネットワークを構築する場合は、環境が固定されるので、納入時点で40台のコンピュータが接続されたことを確認できれば、後から大きな問題が発生することはあまり多くありませんでした。しかし無線LANの場合は、周辺環境や使用する端末で状況が変化するため、「急につながらなくなった」「何だか通信が遅い」というトラブルが発生することがあります。

当社が経験した事例では、ある曜日の特定の時間帯だけ無線LANの通信が極端に遅くなる問題が発生。しかし、しばらく時間が経過すると通信できるようになるというケースがありました。原因を調査すると近隣で定期的にイベントが行われていて、その参加者が無線LANルータを大量に持ち込んでおり、その時間帯だけ電波干渉が発生していたことが原因でした。このような特異なケースでなくても、無線LAN利用中にタブレット端末を持ち運び、接続されたアクセスポイント装置から離れてしまったために通信速度が低下してしまい、あらためて近くのアクセスポイント装置につなぎ直すと快適に使えるようになったということが、無線LANでは日常的に起こり得ます。【図2】

【図2】無線LANの不調は些細な原因から起きる場合も多い

端末を移動して接続中のアクセスポイント装置から離れたことで通信に支障をきたすこともあります。この場合、接続先を確認して設定変更すれば解消されますが、すべての先生がご自身で対処できるわけではないため、適切にサポートできる体制が大切です。

こうしたことから、実際に無線LAN環境をお使いいただく先生方に安心してご利用いただけるようにサポートする仕組みが欠かせないと思います。ご紹介した事例のように、ひと口に無線LANに関するトラブルと言っても、特異なケースであるため詳細な調査や経過観察が必要な場合もあれば、アクセスポイント装置をつなぎ直したり、タブレット端末を再起動したりするだけで解消する場合もあります。そのすべてに教育委員会のご担当者様が窓口となって対応していると、それだけで多くの時間が割かれてしまいます。導入業者に対応を依頼したとしても、現状確認のために現地を訪問する必要があると、その間に不調が改善されてしまい原因がわからなくなってしまうことがあるため、できるだけ迅速な対応をすることが、大きなポイントになります。

クラウドを通じて
現状確認や設定変更などに対応します

トラブルに迅速に対応するためには、
どのようなサポート体制が必要でしょうか?

一般に、市販されているアクセスポイント装置を購入する場合、機器購入代金や管理ソフトウェア代金などの初期費用のほかに、センドバック保守などの機器保証が加わり、別途保守料が必要になります。この機器保証は故障などが対象になり、不調原因が機器の不具合だと特定された場合に、修理や代替機との交換などが可能になるという契約である場合が多いです。「つながりにくい」「通信が遅い」といった原因不明の不調への対処や現場の先生方のサポートについては、運用支援に関する契約が別途必要な場合もありますので、保守の契約時にはサポート対応に何が含まれるのかをご確認いただくことが重要です。

「ギガらくWi-Fi」の特徴は「月額制の料金体系」と「サポート付きサービス」という点です。月額利用料には、アクセスポイント装置の機器使用料のほか、センドバック保守料、サポートセンターの利用料が含まれています。(https://flets.com/gigarakuwifi/)また、ギガらくWi-Fiの導入をご検討いただく際には、ギガらくWi-Fiをご利用いただいている全国の学校での構築のノウハウを踏まえたご提案をしております。

ご提供するアクセスポイント装置は、各種設定や設定変更、運用管理はすべてサポートセンターのプロがクラウド上から行います。クラウド上では、アクセスポイント装置の設定内容を確認することができるのはもちろん、電波の干渉状況や端末の接続状況を確認することもできます。そのため、サポートセンターにお電話いただくだけで、学校現場に出向いた場合と同じように的確かつ迅速にトラブルを解決することができます。

※センドバック保守:機器に故障が発生した場合にサポート窓口に機器を送付すると、修理対応や代替品との交換が受けられる保守サービス。

【図3】「ギガらくWi-Fi」ご利用開始までの流れ

無線LANの不調やトラブルへの対応は、
原因の切り分けがとても大切

具体的には、どんなお問い合わせが多いですか?

問い合わせと言うとトラブルに関するものが多いというイメージが強いかもしれません。実際には、導入初期の操作方法に関するお問い合わせ、導入後の設定変更のご依頼、現状のパスワードや設定についてのご確認など、簡単な内容も多いです。これは、追加料金なく、365日朝9時〜夜9時まで問い合わせできるという気軽さから、こういった内容が増えているのではないでしょうか。

一方で、よくあるトラブルに関するお問い合わせには「急に無線LANにつながらなくなった」「なぜか通信が遅くなった」という内容が多いです。無線LANの不調やトラブルは、無線LAN自体のトラブルなのか、使用しているソフトウェアの不具合なのか、インターネット回線に問題があるのか、さらに、それらのどの部分に問題があるのかという原因の切り分けが大切になりますので、学校の先生方から直接状況を伺い、可能な限りその場で対応します。

継続した経過観察が必要になる場合もありますが、原因を突き止めて状況が改善するまで対応いたします。アクセスポイント装置を交換する必要があれば、お問い合わせを対応したスタッフがその場で発送手配を行います。必要な設定は済ませてから送りますので、アクセスポイント装置が届いたら、電源を入れてLANケーブルを接続いただくだけで、すぐにお使いいただけます。

中には「原因がわからないので、もしかしたら見当違いかもしれないですが」とおっしゃる方もいますが、どんな場合でも不調を感じられたら、お気軽にお電話ください。学校の先生方に限らず、ICTに明るくない方ほど、サポートセンターに問い合わせることをためらってしまう傾向があるように感じます。しかし、潜在的なトラブルを抱えながら、だましだまし使い続けているうちに深刻なトラブルに発展してしまうことがあります。そういう意味で、先生方の本当のお困りごとは、「どこに、どうやって相談したらよいかわからないこと」なのかもしれません。

「トラブル時のみならず、使い方がわからないなどの簡単な内容でも、まずは頼ってほしい」、それがサポートセンターを預かるわれわれの思いです。

迅速にサポートするために、どんな取り組みをされていますか?

無線LANは学校におけるICT活用を支える役割を担っていますので、どんな場合でも必ず解決に導く必要があると考えています。当社ではさまざまなサービスのサポートを行うため100名を超えるオペレーターが在籍していますが、その中でも「ギガらくWi-Fi」は、幅広い分野でサポート対応の経験を積み、社内の試験もパスしたオペレーターが対応しています。

また、他サービスも含むさまざまなトラブル事例やその解決方法などのノウハウは各自が蓄積するだけでなく、専用の掲示板システムを使ってリアルタイムにオペレーター間で共有することを徹底し、プロのサポート担当者として「わかりません」とご回答することがないよう、万全の準備をしています。そのため、新たに無線LAN環境を整備する学校であっても、他校や民間企業での前例を踏まえた最適なサポートを受けることができます。

サポートにあたっては、現在の接続状態や設定値がどうなっているかなどは、クラウドを通じてサポートセンターでも確認できます。アクセスポイント装置の様子をお知らせいただきたい場合は、オペレーターが一つひとつ順を追ってお伺いしますので、まずは安心してお電話ください。

ギガらくWi-fiサポートセンター

▲ 先生方からのお問い合わせを受け、クラウド上でアクセスポイント装置の各種設定や接続状況、電波の干渉状況などを確認し、遠隔操作で対応するギガらくWi-Fi専用サポートセンター。

無線LAN環境の整備と言うと、一般的にはまだ「機器を購入する」という感覚が根強いのだと思います。当社は長年通信事業に携わってきましたので、お客様のことを“ご利用者様”とお呼びしています。つまり、「ご購入いただいた方」ではなく「ご利用されている方」という意識です。ギガらくWi-Fiに限らず、当社のサービスをご利用中のお客様に何か困ったことがあれば、安心して気軽に聞いていただきたいと思います。それが、通信サービスを提供する者のとして当たり前の姿勢だと思いますし、学校内の通信のインフラとも言える無線LAN環境を提供する上では、そうした文化を広げていきたいと思っています。

(2016年1月掲載)
※本記事はインタビュー内容をもとに、必要な情報を書き加えています。

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