授業でのICT活用

関係詞の理解と否定表現を使ったプレゼン活動

授業の様子
本時のねらい

①前次の関係代名詞と関連させながら、既習事項の関係副詞についての文法理解を深める。②センター試験対策としての語彙学習に取り組む。③「インターネットの問題点」について、既習文法事項の「否定表現」を用いて、プレゼン活動【後半】に取り組む。

授業の実際

既習文法事項の関係詞を復習するにあたって、タブレット端末を活用し、反復学習が可能な「自習アプリ」に取り組ませて文法理解を深めた。また、インターネットに接続させてMoodle(ver.1.9)というLearning Management System(以降、LMS)を利用し、2学期より授業内で継続的に語彙クイズに取り組ませ、語彙の定着を図っている。なお、事前に生徒各自で作成したパワーポイントによる英語のプレゼン活動を行うにあたっては、タブレット端末を補助的な発表支援ツールとして活用し、生徒自身が英語を使って積極的にコミュニケーションを取ろうとする態度の育成を図っている。

単元計画(全12時間)
第1時 関係詞(1)【関係代名詞】 / プレゼン用パワポ作成
第2時 関係詞(1)【関係代名詞】 / タブレットでのプレゼン発表の練習
第3時 関係詞(2)【関係副詞等】 / プレゼン活動【前半】
第4時 関係詞(2)【関係副詞等】 / プレゼン活動【後半】(本時)

本時の展開 【W】Writing【L】Listening【P】Presentation

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
【個別学習:前時の復習】関係詞(2)
Target Sentences
【W】既習の関係詞を含むTarget Sentences(4文)について、「自習アプリ」を利用してクイズ問題にて復習する。

1「自習アプリ」で作成したクイズ問題を各自でダウンロード後、復習させる。

【一斉学習】関係詞(2)

1.部分英作文問題

2.並べ替え英作文問題

【W】解説・解答を見ながら、自分の宿題の解答を確認する。

・教員機からプロジェクタにパワーポイントを提示する。

【個別学習:本時の復習】関係詞(2)

1.空所補充問題

【W】本時に学習したExercises1.を空所補充(記述式)形式の問題にし、「自習アプリ」を利用し、復習する。

1「自習アプリ」で作成したクイズ問題を各自でダウンロード後、復習させる。

【個別反復学習】
センター試験対策語彙問題
語彙問題100問について、自分の学習履歴を参照し、複数回取り組む。

・LMSで作成した語彙クイズ問題(4択 問題形式)で、語彙学習の定着を図る。

【協働学習】
プレゼン活動
([発表2分+
Feedback1分]×9人)
【W】【P】教科書Lesson20のGOAL英作文「インターネットの問題点について」を利用して、一人ずつプレゼンを行う。【L】また、ほかの人の発表を聞きながら、LMSを使ってその評価を行う。

2事前に第2時の授業の際、パソコン教室のデスクトップパソコンにて、各自でプレゼン用のパワーポイントを完成させ、データ保存の上、タブレット端末を使ってのプレゼン練習を指導しておいた。

3『SKYMENU Class』で生徒全員のタブレット端末の画面一覧を表示後、順番に一人ずつプレゼンをさせる。

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

「自習アプリ」による個別反復学習で基礎学力の定着
自習アプリ

「自習アプリ」で事前にオリジナル教材を作成し、定着させたい学習事項を授業内の短時間で集中的に生徒に取り組ませる。これにより、授業後は生徒個別の学習履歴が確認でき、各問題への取り組み回数、正解率、正誤状況等がデータとして蓄積されるので、生徒個別あるいはクラス全体の理解度の状況把握ができる。さらに、一人の教員が作成したオリジナル教材はほかの教員との共有ができるので、当該教科全教員が必要に応じて授業で活用することができる。

パソコン教室で作成した資料をタブレット端末で利用
個人フォルダの活用

パソコン教室にてデスクトップパソコン用の『SKYMENU Pro』とタブレット端末用の『SKYMENU Class』を同一のサーバで運用し、ユーザ情報を一元管理している。そのメリットとして、本時のように事前にパソコン教室のデスクトップパソコンでプレゼン用に作成したパワーポイントのファイルを普通教室での発表の際に、その作成ファイルをシームレスに開くことで、プレゼン活動に発表ツールとして役立てられる。

学習状況のモニタリングと発表者画面の提示
学習機画面の一覧表示

『SKYMENU Class』では、教員機で常に学習者機の画面を一覧表示でき、生徒の学習進捗状況を把握することが可能である。また、その一覧表示している教員機の画面をプロジェクタなどに投影し、教員が選択した複数の学習者機の画面を比較し合ったり、特定の生徒の画面を拡大表示して意見を出し合うなどといった協働学習の場面での使用も可能である。本時では、各プレゼン発表の際、発表者の画面を選択・拡大表示し、クラス全員で共有し合う形態で活用を行った。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

「生徒同士が関わり合い、学び合う」という協働学習の場面を

今回のプレゼン活動では「生徒自身が英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る」というねらいでタブレット端末の有効活用を試みた。しかし、時間的な制約もあり、個人から全体へという一方通行的なプレゼンに留まり、双方向的なコミュニケーションを促す場面を設定できていない。タブレット端末でもっと「生徒同士が関わり合い、学び合う」という協働学習の場面を、どれだけ多く授業の中に設定できるかが、今後の課題である。

(2016年4月掲載)