授業でのICT活用

浮力の実験を再現せよ

タブレット端末の校内共有利用を支える個人フォルダの活用

本時のねらい
  • ・水中にある物体には、あらゆる向きから圧力が働き、また、物体に浮力が働くことを理解できる。
  • ・測定結果のグラフから、物体に働く重力と浮力の関係を読み取り、実験で再現することができる。
授業の実際

水圧の特徴、浮力が発生する原理については前時までに学習しているが、一部の生徒の中には、物体が完全に水中に沈んでいるとき、水面に近いときより、水深が深くなるほど浮力は大きくなると誤った認識が見られる。

そこで、本時は、事前に行った浮力の実験を再現することで、浮力について理解を深めることをねらいとして行った。各班にタブレット端末を3台ずつ配付し、それぞれの端末に別々の役割を持たせながら実験を行った。また、浮力の測定には、力学センサーをタブレット端末に接続して使用した。また、各端末でグラフを作成したり、映像を撮影したものを1つのワークシートに集約するために、『SKYMENU Class』の[デジタルワークシート]機能を使い、協働的な学習になるように工夫した。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
導入 学習課題グラフを見て、どのような動きを行ったのかを予測する。
浮力の実験を再現せよ。
①「グループフォルダ」から学習課題のグラフを取り出させる。
展開 各場面での木片の動きを測定。

実験を行い、まとめとして「デジタルワークシート」にグラフと動画を貼り付ける。

2タブレット端末のセンサーをつなぎ、ポイントとなる場面での浮力を測定する。
映像を撮影し、「デジタルワークシート」に貼り付ける。
まとめ まとめた「デジタルワークシート」を電子黒板で共有提示し、全体で確認する。 3グラフをキャプチャし、「デジタルワークシート」に貼り付ける。
手元のタブレット端末を操作して、電子黒板に提示しながら発表する。
単元計画(全9時間)
第1時 力のはたらきと物体・力の種類 第6時 物体にはたらく浮力
第2時 力の大きさとばねののび 第7時 浮力の実験の再現(本時)
第3時 重さと質量・力の表し方 第8時 大気圧の大きさ
第4時 圧力の求め方 第9時 圧力のまとめ
第5時 水圧の特徴    

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

共有利用を支えるデータ管理
グループフォルダ

ログイン時に「グループフォルダ」、学校共通のフォルダ等と占有、共有が管理されているので、学習課題を配付、保存させる時にデータの混在を防ぐことができる。次々と別のクラスが利用する場合、この[グループフォルダ]機能は欠くことのできない重要な部分である。また、『SKYMENU Class』には教材の配付・回収といった便利な機能もあるが、データの管理スキルを意識させるためにも、今回はあえて[教材配付]機能は使わず、自ら指定されたフォルダから学習課題を取ってくるように指示した。

面倒な操作を1ボタンに
カメラ

生徒がまとめで使った「デジタルワークシート」には、「撮影して貼り付け」という機能があり、撮影したものが撮影終了後にすぐにワークシートに貼り付けられる。デジタルカメラで撮影したものを、ノートパソコンに読み込み・・・といった煩雑な操作がすべて解消され、タブレット端末をデジタルカメラのように操作しながら撮影し、その後は自動的に貼り付けられるので、きわめてシンプルに設計されたシステムと、操作のしやすさに生徒はすぐに順応して使いこなしている様子であった。

協働的な活用にするために
デジタルワークシート

各班にタブレット端末は3台ある。この3台に別々の役割を持たせた。①力学センサーアプリ用、②動画撮影用、③「デジタルワークシート」まとめ用である。①、②の端末で作ったデータも、班ごとに共有設定できる「デジタルワークシート」があってこそ、1つの画面(③の端末)にリアルタイムでまとめることができる。端末に役割があることは、それを使う生徒に役割があるといえる。自分もほかの班員も、任された責任を果たすことで1つのワークシートができ、みんなで賢くなれる。

今後の課題(実践を振り返って)

今回使用した「デジタルワークシート」は任意のメンバーでネットワークを介して共通のシートを扱えるメリットがある。互いの考えがパズルのピースのようにシートに散りばめられ、1つのまとまった考えに成長する。まさに、今あちこちで実践が試みられているジグソー学習そのものである。この学習形態に、タブレット端末と「デジタルワークシート」を組み合わせることで、この機能の教育的な効果は格段に伸びると感じている。

(2014年5月掲載)